もうひとつの誤解
ロボットの初心者が持たれる大きな誤解がもう一つあります。
今回は様々な用途の中で、溶接で例えます。
それは「溶接機器メーカーのロボットは、溶接ロボットも優れている」という誤解です。
この誤解が生じる理由は
『ロボットが溶接作業をうまくできるか?』が最も重要なのに、ロボットの『周辺機器だけの能力(この場合は溶接能力)』しか見ていないという事です。
ロボットの作業は、ロボットと周辺機器の両方がうまく機能し合わないと、うまくいかない事を見落としています。
先日、私も中国地方のいくつかの工場でお伺いしたら、まさにその溶接メーカーのロボットばかりが置いてありました。
『置いて』と表現したのは、『働いてはいなかった』という事です。
工場の担当者に聞くと「ロボットは殆ど稼働していないです。
理由は、うちみたいな中小企業は小ロット(少量多品種)の製品が多いので、ティーチング(教示)をする時間がかかるロボットでは作業できません。」と言われていたので。
私が「プログラムのカスタマイズや、ティーチングソフトを活用して対応できませんか?」とお聞きすると、
「このロボットメーカーにも問い合わせましたが、
『うちのロボットにはそのようなカスタマイズ性はありません』
『ティーチングソフトを使っても、うちのロボットにはたわみの補正機能(絶対精度)などが無いのでうまくいきません』
『よって、自分で全てティーチングしてほしい』と言われてしまいました。」
との事でした。
最近「溶接ロボットは、溶接メーカーにお願いすれば大丈夫。
他の有名ロボットメーカーの溶接は良くない。」という噂が出回っていますが、これはメーカーとお客様の間に入っている商社さんの利益率が高いから、そのような噂を流して旨みを得ているだけで、決して事実ではありません。
よくよく注意してほしいと思います。
その証拠に、大手自動車会社の生産現場で、特に溶接を行う一次下請けの会社にも私はよくお伺いしますが、そこでの溶接ロボットは、先ほどの溶接メーカーではなく、サーボモーターを生産している某ロボットメーカーの溶接ロボットが殆どの割合を占めています。
意外に思われるかもしれませんが、特に溶接の質を問われる配管の溶接などで、その某ロボットメーカーが使用されています。
つまり、溶接機器のメーカーでなくても、ロボットだけでなく溶接の質も非常に高いという事をお客様の満足度が証明しています。
噂と真実は違う、という事を留意しておくべきです。
次回に続きます・・
弊社に問い合わせて頂ければ、良いSIの紹介だけでなく
ロボットにまつわる様々な事の相談に乗らせて頂きます。